
「もうやめたい」と何度も思ってた。
でも、気づけばまたホールにいる。
“今日こそ勝てる気がする”という謎の自信と、“今日も負けるだろうな”という諦めの共存。
それが、あの頃の俺だった。
ギャンブル依存ってのは、意思の強さじゃどうにもならない。
“中毒”なんだ。
どれだけ決意しても、どれだけ誓っても、現実が変わらなければまた戻る。
そんな俺が、ギャンブルを本気でやめる方向へ動き出せた理由。
今回は、そのきっかけになった「3つの現実」について書いていく。

目次
1. 「家族すら、もう信じてくれない」という現実
最初は軽い気持ちだった。
「2万だけ貸してくれない?」
「すぐ返すから」
そんなセリフを、家族に何度も使ってきた。
最初は不審がられながらも、渋々貸してくれた。
でも、ある日を境に、母親からこう言われた。
「ごめん、もう無理。あんたには貸せない」
この言葉は、想像以上に重たかった。
“もう誰も、自分を信用していない”
その事実に、初めて直面した。
家族の信頼って、勝手に「ずっとある」と思ってた。
でも、繰り返されるウソ、約束を破る日々、明らかにギャンブルに溺れていく様子。
そりゃ見放されても仕方ない。
このとき、俺の中で何かが折れた。
同時に、「もう誰も助けてくれないんだ」という“現実”が、重くのしかかった。
2. パチンコ屋で過ごす時間が「虚無」すぎるという現実

パチンコ屋って、不思議な空間だ。
外は真夏でも、真冬でも、店内は快適。
音も光も派手で、現実を忘れられる。
でも、それが危険だった。
朝から並んで、台に座って、ただ回す。
当たれば脳汁。外れれば絶望。
この繰り返しを、何年も続けてきた。
でも、ある日ふと思ったんだ。
「今日、俺って何してたんだ?」って。
9時間ホールにいて、得たのは缶コーヒー1本と、1,500円の負け。
頭はボーッとしてて、体もダルい。
財布は軽く、心は空っぽ。
「虚無」って、こういうことを言うんだと理解した。
何よりヤバいのは、時間が溶けてる感覚がなかったこと。
1時間、2時間…それがあっという間に過ぎる。
気づけば外は真っ暗。
「今日も無駄にした」って思いながら帰る日々に、ふとしたときに恐怖を感じた。
「このまま10年経ったら、俺どうなってんだ?」
3. 自分には「何も残ってない」と気づいた現実
ギャンブルをやるたび、何かを失ってた。
最初は小銭だったけど、気づけば貯金、信用、仕事、友達…。
それでも気づかないフリをしてきた。
でも、ある夜、一人でボーッとしてるときに、急に襲ってきた感覚があった。
「俺、何も残ってねぇな…」って。
スマホを開いてもLINEの通知はない。
SNSのタイムラインを見ても、みんな楽しそうで、俺は関係ない世界にいた。
冷蔵庫は空っぽ、口座も残高数百円。
「終わってるな」って、本気で思った。
そのとき、ようやく「変わりたい」と思った。
「もう一回、ちゃんと生きたい」
「誰かと笑いたい」
「少しでも、誇れる自分になりたい」
ギャンブルをやめよう。
そう思えたのは、“前向きな決意”というより、“これ以上落ちたら戻れない”という恐怖だった。

まとめ|「やめたい」じゃなく「見つめ直す」ことが始まり
ギャンブル依存から抜け出すには、「意志の強さ」よりも、「現実を直視する覚悟」が必要だった。
・誰にも頼れない
・時間が無駄になっている
・自分には何も残っていない
この3つの現実が、俺を目覚めさせた。
怖かったよ。
本当に怖かった。
でも、この現実に向き合ったことが、俺の人生を変え始めた第一歩だった。
今、ギャンブルから抜け出せなくて苦しんでる人に伝えたい。
「今の自分の現実を、まっすぐ見つめてみてほしい」
痛いけど、それが回復のスタートになる。
そして、そこから逆転の物語が始まるんだ。
