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〜底辺の夜は、タイムセールに懸けろ〜
18時を過ぎると、体がソワソワしてくる。
時計を見るたび、胸の奥がザワつく。
仕事でもデートでもない。俺が向かうのは――近所のスーパー。
そう、“半額シール”との戦いが始まるのだ。
貧乏人にとって、スーパーのタイムセールは戦場だ。
一枚の黄色いシールに、今日一日の希望が詰まっている。
■ 18時45分、勝負の時間
俺が通ってたスーパーは、19時すぎからタイムセールが始まる。
でも、19時に行ってちゃ遅い。
19時に“シールが貼られる”んじゃなくて、貼られた直後にはもう“争奪戦”が始まってる。
経験則として、18時45分には現場入りするのがベスト。
まだ貼られてないけど、カゴを持ってウロウロしてる“同士”たちが何人かいる。
目を合わせたら負け。
変な連帯感なんかいらない。ここは戦場だ。
■ 半額シールは“光って見える”
19時ちょうど。
店員がカートを押して惣菜コーナーにやってくる。
この瞬間、全員が動く。
スマホいじってたフリしてたオッサンも、やたら長い時間キャベツ見てた主婦も、一斉に群がる。
貼られた瞬間の半額シールって、本当に“光って”見えるんだよな。
ハンバーグ弁当398円 → 199円。
唐揚げパック298円 → 149円。
焼きそば198円 → 99円。
これが俺たちのディナータイム。
■ 半額なのに「買えない」恐怖
でもな、半額になったからといって、買えるとは限らない。
その日の残金が100円未満だったとき、
目の前で貼られた焼きそば99円を、他の人がスッ…と取っていくのを見て、俺は泣きそうになった。
半額シールは、見つけるものじゃない。
“手にできたかどうか”が全てなんだ。
財布の中身と相談しながら、
「あの唐揚げは無理だけど、このコロッケならいける…!」って選択を迫られる。
地味だけど、これが底辺の現実。
■ あの時の勝利飯、今も忘れられない

一度だけ、最高の戦果を得た夜がある。
- 唐揚げ弁当(半額で198円)
- ポテトサラダ(半額で49円)
- インスタント味噌汁(家にあった)
これをトレーごと部屋に持ち帰って、風呂にも入らず一気にかき込んだ。
B級グルメでもない。高級感もゼロ。
でも、心から「勝った…」って思えた夜だった。
食ってる途中、何回も「うまっ…」って声が出た。
味は、そりゃ普通の弁当だよ。
でも、自分の足で歩いて、タイミング見て、金額と相談して掴んだメシだからこそ、価値が跳ね上がるんだ。
■ なめるなよ、底辺の知恵と嗅覚
よく「節約術」とかで“スーパーは夜に行け”って書いてあるけど、
あれは“知識”じゃなくて“生存本能”だ。
俺たちは日々、タイムセールの情報を血眼で集めて生きてる。
- どのスーパーが何時に貼るか
- 貼る店員がどのルートで回るか
- 割引率が高い曜日はいつか
このあたりの“地元スーパー情報”は、マジで命綱だ。
割引の流れを把握してるかどうかで、生き延びる確率が変わる。冗談じゃなく。
【まとめ】半額シールは、貧乏人のプライドだ
・18時台に現場入りして、空気を読む
・貼られた瞬間に迷わず手を伸ばす
・買えたら“勝利飯”、逃したら“絶望の夜”
・半額に救われた日々は、バカにできない“生存記録”
タイムセールで食いつないだ夜。
それが惨めだって? 笑わせんな。
金がなくても、プライド持って生き延びてきたんだ。
次回は、「うどん一玉19円、神食材説」について語ろう。
俺たちは今日も、知恵と工夫で“食って”生きていく。
